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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第21章 姫の弟子入り
サクナは木箱を下ろすと、ほら、と蓋を開けて、中を姫に見せました。
言われて見てみれば、その通りです。
木箱の中にはスイカが二つ入っていて、輸送の途中の緩衝材として、隙間に柔らかい鉋屑が詰めてありました。
その鉋屑が埋めている木箱の隅に、リンゴが入っていたのです。
そこに収まっていたのは、リンゴが丸のままだったからこそ。
飾り切りのリンゴを丸いリンゴが有った場所に押し込めば、せっかくの果物細工の形が崩れてしまうでしょう。
「そっかー…あ、じゃあ」
良い事考えた!と、スグリ姫は目を輝かせました。
「私がスイカを一つ持つから、その場所に入れて!」
「…え。」
姫の提案がサクナの脳に届かないうちに、姫はスイカを箱から取り出してスイカの有った凹みの部分に、白鳥と葉っぱをそっと置きました。
そして、スイカをえいやっ!と、持ち上げました。
「待て、そんな重い物、女があの部屋まで運べる訳が」
スイカは、大玉スイカです。
しかも、見合いの手土産にするからと言われて、タンムのために畑で一番立派なものを二つ選んで持って来たのです。
女の細腕で運べる訳が…
「え?運べてますけど、何か問題が?」
…運べる訳が、ありました。
「さっき重いって言ってただろ」
「へ?ああ、重たーい、っては言ったかな」
こんな大きくて重い果物持ったの初めてだったから、と姫はスイカを抱えて、どんどん歩いていきます。
「このくらい、丸太で椅子作ったときに比べたら、楽勝だから。私のことは気にしないで、そっちをくれぐれも宜しく」
(そう言えば、さっき果物細工を作った時に座った椅子が、立派な丸太だった)
そうです。姫の趣味は、木工です。
例え女であったとしても、木工が趣味の人間が、細腕な訳は無いのです。
今日一日で…というか、この数刻で驚きすぎたサクナは、機械仕掛けの人形になったかのように、姫に言われるがままに木箱を抱えて姫に着いていきました。
(こいつは、只者じゃない…)
重そうな様子も見せず、時折「スイカ、スイカ、スイカちゃーん♪」と謎の鼻歌を歌いながら機嫌よく歩き続ける姫の後姿に、サクナは悟りました。
この姫の希望を断っても無駄だ、と。
きっとこの姫は、断っても断っても、自分の望みが叶うまで食い下がるでしょう。
「…分かった」
「え、なあに?」
歩く早さの違いで姫に追いついた時、サクナは姫に言いました。
言われて見てみれば、その通りです。
木箱の中にはスイカが二つ入っていて、輸送の途中の緩衝材として、隙間に柔らかい鉋屑が詰めてありました。
その鉋屑が埋めている木箱の隅に、リンゴが入っていたのです。
そこに収まっていたのは、リンゴが丸のままだったからこそ。
飾り切りのリンゴを丸いリンゴが有った場所に押し込めば、せっかくの果物細工の形が崩れてしまうでしょう。
「そっかー…あ、じゃあ」
良い事考えた!と、スグリ姫は目を輝かせました。
「私がスイカを一つ持つから、その場所に入れて!」
「…え。」
姫の提案がサクナの脳に届かないうちに、姫はスイカを箱から取り出してスイカの有った凹みの部分に、白鳥と葉っぱをそっと置きました。
そして、スイカをえいやっ!と、持ち上げました。
「待て、そんな重い物、女があの部屋まで運べる訳が」
スイカは、大玉スイカです。
しかも、見合いの手土産にするからと言われて、タンムのために畑で一番立派なものを二つ選んで持って来たのです。
女の細腕で運べる訳が…
「え?運べてますけど、何か問題が?」
…運べる訳が、ありました。
「さっき重いって言ってただろ」
「へ?ああ、重たーい、っては言ったかな」
こんな大きくて重い果物持ったの初めてだったから、と姫はスイカを抱えて、どんどん歩いていきます。
「このくらい、丸太で椅子作ったときに比べたら、楽勝だから。私のことは気にしないで、そっちをくれぐれも宜しく」
(そう言えば、さっき果物細工を作った時に座った椅子が、立派な丸太だった)
そうです。姫の趣味は、木工です。
例え女であったとしても、木工が趣味の人間が、細腕な訳は無いのです。
今日一日で…というか、この数刻で驚きすぎたサクナは、機械仕掛けの人形になったかのように、姫に言われるがままに木箱を抱えて姫に着いていきました。
(こいつは、只者じゃない…)
重そうな様子も見せず、時折「スイカ、スイカ、スイカちゃーん♪」と謎の鼻歌を歌いながら機嫌よく歩き続ける姫の後姿に、サクナは悟りました。
この姫の希望を断っても無駄だ、と。
きっとこの姫は、断っても断っても、自分の望みが叶うまで食い下がるでしょう。
「…分かった」
「え、なあに?」
歩く早さの違いで姫に追いついた時、サクナは姫に言いました。