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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第2章 物語の始まり
昔々あるところに、小さな国が有りました。
気候は温暖で、水も、土も、資源も豊かな土地です。
代々の領主は名君で、自らを律する心と先見の明、民に対する思いやりを併せ持ち、国を善く治めていました。
そんな平和な世が何代も続いていましたが、人というのは、不思議なものです。
あまりに平和だと、それに反発しようとする者が、出てくるものです。
世の習いに漏れず、この国にも魔女や呪術師がおりました。
その中に、平和な治世に理由の無い反抗心を抱き、それが悪意に変わってしまっていく者が、現れました。
表面的には穏やかな平和な世の中で、長い長い時間をかけて。
小さな国の悪意の種は、ひっそり、ふつふつ、育っていきました。