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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第23章 はじめての果物細工講習
リンゴ細工に触ってみると、表面がいい感じに乾いてきています。
この城は夏でも湿度が低いので、うまく乾かせば取って置くことが出来るかもしれない、とスイカを運びながら、サクナが教えてくれました。
「埃がつくと面倒だから紙の箱かなんかに入れて、蟻のたからないような場所に置いてくれ。時々蓋を開けておいた方が良いな。白鳥はシワシワの年寄りになっちまうだろうが、この城ならうまく乾くだろ。うちの方だと湿気が多いから、黴で緑鳥になっちまうとこだがな」
そう言ったサクナは相変わらずクスリとも笑わない眉をひそめた表情だったので、スグリ姫は(これは、笑ってもいいとこなのかしら、笑ってはいけないところなのかしら)と、大いに迷ったのでありました。
「とにかく、サクナは、すっごく迷惑そうだったもの」
「…あの従…じゃない、マイスター様が迷惑そうじゃない顔をしてたことなんて、ここ二日ありましたかね」
(あったわよ、失礼ね!!!)
バンシルの言葉に、スグリ姫は心の中で反論しました。
たしかに、最初に会った時からほとんど眉をひそめた顔ばかりしていたサクナですが、姫が木箱を穴が開くほど見つめていたときとスイカがどんな木になるのかと聞いたとき、サクナは笑っていたのです。
(しかも!「スイカのなる木」の時なんか、私の「特異体質」の時に負けないくらい、笑ってたんだからー!!!)
その時の物知らずな自分を思い出すと顔どころか全身赤くなりそうですが、そのおかげで珍しい笑い顔が見られたと思えば、「物知らずだった自分、よくやった!!」と言いたいような気もしてきます。
「姫様?どうかしましたか?」
鏡の中の姫が百面相状態になっているのに気付いたバンシルは、髪を結いながら姫にたずねました。
「…なんでもない。」
(説明したって、バンシルは信じないだろうし)
姫はリンゴの入っている箱の中から、手でちぎられたらしい小さな紙片を取り出しました。
指先でそれを広げてみると、第一回の果物細工講習は今日の午後でもよいかと言う、ぞんざいな文字が書かれておりました。
この城は夏でも湿度が低いので、うまく乾かせば取って置くことが出来るかもしれない、とスイカを運びながら、サクナが教えてくれました。
「埃がつくと面倒だから紙の箱かなんかに入れて、蟻のたからないような場所に置いてくれ。時々蓋を開けておいた方が良いな。白鳥はシワシワの年寄りになっちまうだろうが、この城ならうまく乾くだろ。うちの方だと湿気が多いから、黴で緑鳥になっちまうとこだがな」
そう言ったサクナは相変わらずクスリとも笑わない眉をひそめた表情だったので、スグリ姫は(これは、笑ってもいいとこなのかしら、笑ってはいけないところなのかしら)と、大いに迷ったのでありました。
「とにかく、サクナは、すっごく迷惑そうだったもの」
「…あの従…じゃない、マイスター様が迷惑そうじゃない顔をしてたことなんて、ここ二日ありましたかね」
(あったわよ、失礼ね!!!)
バンシルの言葉に、スグリ姫は心の中で反論しました。
たしかに、最初に会った時からほとんど眉をひそめた顔ばかりしていたサクナですが、姫が木箱を穴が開くほど見つめていたときとスイカがどんな木になるのかと聞いたとき、サクナは笑っていたのです。
(しかも!「スイカのなる木」の時なんか、私の「特異体質」の時に負けないくらい、笑ってたんだからー!!!)
その時の物知らずな自分を思い出すと顔どころか全身赤くなりそうですが、そのおかげで珍しい笑い顔が見られたと思えば、「物知らずだった自分、よくやった!!」と言いたいような気もしてきます。
「姫様?どうかしましたか?」
鏡の中の姫が百面相状態になっているのに気付いたバンシルは、髪を結いながら姫にたずねました。
「…なんでもない。」
(説明したって、バンシルは信じないだろうし)
姫はリンゴの入っている箱の中から、手でちぎられたらしい小さな紙片を取り出しました。
指先でそれを広げてみると、第一回の果物細工講習は今日の午後でもよいかと言う、ぞんざいな文字が書かれておりました。