この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第23章 はじめての果物細工講習
「あー、ああ。薄く切ったリンゴを煮たもので、花の形を作ってる」
「へー!これ、どうやって煮たの?もしかして、煮たのを持ってきてたの?」
「いや、まさか。スイカを取りに行ったとき顔見知りになった厨房の連中に頼んだ」
「へー…」
(サクナって、無愛想に見えるけど、意外と社交的なのね)
姫は口に出さずにそう思い、サクナを無愛想のかたまりだと思い込んでいるバンシルに、ちらっと目配せしました。
バンシルは少し肩をすくめると、姫に呼ばれるまでやっていた侍女としての仕事に戻ることにしました。
「じゃあ、普通のリンゴ剥きからやるぞ。まず、皮を剥いてみろ」
リンゴ一個とナイフ一本が、テーブルの上に置かれます。
「はい、マイスター!…えっと、どうやるの?」
「リンゴを剥くのは初めてか?」
リンゴとナイフを手に持って、うん、と姫は頷きます。
「じゃあ、まず見てろ」
そう言うと、サクナは姫の手からナイフを取り上げ、リンゴをもうひとつ取り出しました。
それを左手に持ち、右手でナイフを沿え、器用にくるくると剥き始めました。
「うっわすごい!すごい速っ!」
くるくるくるくる。
リンゴが緑からクリーム色になり、同時に細い緑色のリボンのような皮が、手元からどんどん生まれて、床に向かって長く伸びていきます。
「ちょ!ちょっと、マイスター!」
「何だ?」
声をかけられて、くるくるの伸びが止まりました。
「速すぎて、何やってるのか、見えません!」
「…あ。悪い、つい」
サクナが苦笑して手元を見ると、リンゴの皮はすっかり剥けてしまっていました。
「うわーん!もう一回やってください!」
「もう一回やるほどは、リンゴが無ぇな」
「えええ!」
ふむ、と考えたサクナは、リンゴを持ったままの姫に、ナイフの柄を差し出しました。
「とりあえず、左手でリンゴを持ってみろ。で、右手でナイフを、こう」
「…こう?」
「いや、そうじゃ無え。こういう風に、こう」
そう言って何度かやってみせてくれたのですが、向かい合わせで見ているせいか、今ひとつ持ち方がしっくり来ません。
「まどろっこしいな」
そういうとサクナは姫の背中側に回り込みました。
そして、姫の右手に右手を、左手に左手を添えました。
「へー!これ、どうやって煮たの?もしかして、煮たのを持ってきてたの?」
「いや、まさか。スイカを取りに行ったとき顔見知りになった厨房の連中に頼んだ」
「へー…」
(サクナって、無愛想に見えるけど、意外と社交的なのね)
姫は口に出さずにそう思い、サクナを無愛想のかたまりだと思い込んでいるバンシルに、ちらっと目配せしました。
バンシルは少し肩をすくめると、姫に呼ばれるまでやっていた侍女としての仕事に戻ることにしました。
「じゃあ、普通のリンゴ剥きからやるぞ。まず、皮を剥いてみろ」
リンゴ一個とナイフ一本が、テーブルの上に置かれます。
「はい、マイスター!…えっと、どうやるの?」
「リンゴを剥くのは初めてか?」
リンゴとナイフを手に持って、うん、と姫は頷きます。
「じゃあ、まず見てろ」
そう言うと、サクナは姫の手からナイフを取り上げ、リンゴをもうひとつ取り出しました。
それを左手に持ち、右手でナイフを沿え、器用にくるくると剥き始めました。
「うっわすごい!すごい速っ!」
くるくるくるくる。
リンゴが緑からクリーム色になり、同時に細い緑色のリボンのような皮が、手元からどんどん生まれて、床に向かって長く伸びていきます。
「ちょ!ちょっと、マイスター!」
「何だ?」
声をかけられて、くるくるの伸びが止まりました。
「速すぎて、何やってるのか、見えません!」
「…あ。悪い、つい」
サクナが苦笑して手元を見ると、リンゴの皮はすっかり剥けてしまっていました。
「うわーん!もう一回やってください!」
「もう一回やるほどは、リンゴが無ぇな」
「えええ!」
ふむ、と考えたサクナは、リンゴを持ったままの姫に、ナイフの柄を差し出しました。
「とりあえず、左手でリンゴを持ってみろ。で、右手でナイフを、こう」
「…こう?」
「いや、そうじゃ無え。こういう風に、こう」
そう言って何度かやってみせてくれたのですが、向かい合わせで見ているせいか、今ひとつ持ち方がしっくり来ません。
「まどろっこしいな」
そういうとサクナは姫の背中側に回り込みました。
そして、姫の右手に右手を、左手に左手を添えました。