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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第23章 はじめての果物細工講習
「お前、鉋かけたことあるか」
「うーんと、一回だけ」
姫は木工が趣味といっても、木材は加工されたものを使うことがほとんどでした。なので、鋸や釘打ちは得意でしたが、鉋はほとんど使ったことが無かったのです。
「一回やってりゃいい。ナイフもあれと同じだ。ナイフの角度を一定にして、リンゴの上を滑らせる」
「なるほど!ナイフは鉋とおんなじ、と」
姫は鉋を使ったときのことを、頭の中で思い出してみました。
(木を上手く削れると、さっきのリンゴの皮みたいに、薄くて長いきれいな鉋屑が出たっけ。ああいう感じね、よーし、)
鉋の要領を思い出してリンゴを剥いてみると、先程とは打って変わって、くるくると剥けていきました。
「わあ!剥けます、マイスター!」
「お。急に上手くなったな、木工をやるだけあって、さすがに器用だな」
「え?!うわ!!」
サクナが、姫の木工のことを口にしたのを聞いた途端。
厚くなったり、薄くなったり、幅広くなったり、細くなったりしながらも、なんとか繋がっていたリンゴの皮が、ぷつん、と切れました。
「あーあ…切れちゃった…マイスターが変なこと言うから~」
姫にぼやかれて、サクナはリンゴの皮を拾いながら、変なこと?と聞き返しました。
「だって、木工やってさすがに器用だって」
「それ、何か変か?」
聞き返されて、姫は下を向きました。
「木工なんて、姫っぽい趣味じゃないもん」
「そんなもん、姫もクソも関係ねぇだろ。何っぽくても、ぽくなくっても、趣味は趣味だ」
「だって」
「木工やってたから鉋が分かって、リンゴを剥くコツがすんなり分かったんだろ。お前が鉋を知らなかったら、俺は説明の仕様が無かった」
「そうだけど…」
「そんなに姫っぽくしたいんなら、姫っぽく自慢でもしたらどうだ、褒めてんだから」
「褒めてたの?」
「褒めてんだろ、木工抜きにしても。初めてにしては上手いし器用だ」
そう言うサクナの表情は、言葉に見合わず大変不機嫌そうでした。
「うーんと、一回だけ」
姫は木工が趣味といっても、木材は加工されたものを使うことがほとんどでした。なので、鋸や釘打ちは得意でしたが、鉋はほとんど使ったことが無かったのです。
「一回やってりゃいい。ナイフもあれと同じだ。ナイフの角度を一定にして、リンゴの上を滑らせる」
「なるほど!ナイフは鉋とおんなじ、と」
姫は鉋を使ったときのことを、頭の中で思い出してみました。
(木を上手く削れると、さっきのリンゴの皮みたいに、薄くて長いきれいな鉋屑が出たっけ。ああいう感じね、よーし、)
鉋の要領を思い出してリンゴを剥いてみると、先程とは打って変わって、くるくると剥けていきました。
「わあ!剥けます、マイスター!」
「お。急に上手くなったな、木工をやるだけあって、さすがに器用だな」
「え?!うわ!!」
サクナが、姫の木工のことを口にしたのを聞いた途端。
厚くなったり、薄くなったり、幅広くなったり、細くなったりしながらも、なんとか繋がっていたリンゴの皮が、ぷつん、と切れました。
「あーあ…切れちゃった…マイスターが変なこと言うから~」
姫にぼやかれて、サクナはリンゴの皮を拾いながら、変なこと?と聞き返しました。
「だって、木工やってさすがに器用だって」
「それ、何か変か?」
聞き返されて、姫は下を向きました。
「木工なんて、姫っぽい趣味じゃないもん」
「そんなもん、姫もクソも関係ねぇだろ。何っぽくても、ぽくなくっても、趣味は趣味だ」
「だって」
「木工やってたから鉋が分かって、リンゴを剥くコツがすんなり分かったんだろ。お前が鉋を知らなかったら、俺は説明の仕様が無かった」
「そうだけど…」
「そんなに姫っぽくしたいんなら、姫っぽく自慢でもしたらどうだ、褒めてんだから」
「褒めてたの?」
「褒めてんだろ、木工抜きにしても。初めてにしては上手いし器用だ」
そう言うサクナの表情は、言葉に見合わず大変不機嫌そうでした。