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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第23章 はじめての果物細工講習
「わ!薔薇になった!」
「こんなもんだな。今は緑のリンゴしか無いから皮を剥いた白い薔薇だが、紅いリンゴを皮付きのまま煮ると、皮から色が出る。それを使えば、薄紅の薔薇ができるぞ」
「わわ、そしたら二色の薔薇ができるねー!早く紅いリンゴの季節にならないかなー!」
目を輝かせる姫を見て、サクナはほんの少し目元を緩めました。
「そうだな。そのためには、今から練習しておかないとな。とりあえず、これを巻いて薔薇にしてみろ」
「はい、マイスター!」
そのうち紅白の薔薇ができると聞いて、姫は更に張り切りました。
「出来た!」
「うん、よく出来てる」
お皿の上には、可愛らしい薔薇の花が形作られています。
「わーい!あ、バンシル!見て見て、できた!」
姫は掃除を続けながら近くまで来たバンシルを手招きして呼びました。
「これ、姫が?ちゃんと薔薇に見えますね…っていうか、それは何やってるんですか」
またリクエストを受けたサクナが無表情かつ機械的に姫を撫でているのを見て、バンシルは呆れて聞きました。
「これ?これはねー、マイスターが将来弟子を褒めて育てる練習!」
「…あー…そう、ですか」
バンシルはその様子を見て、この従者に下心があるかもしれないと思った自分が、馬鹿らしくなりました。
(…むしろ私と同類だわね。「姫のやりたい放題に巻き込まれる被害者の会」)
まだ姫と初めて会って二日しか経っていないのに同類と化した「マイスター」を見ながら、バンシルは「タンム卿はお人よし」という認識を改めました。
(タンム様だけじゃなかったわ。「南の男はお人よし」っと)
バンシルは心の中の覚え書きを、そう書き直すことを決めたのでした
「こんなもんだな。今は緑のリンゴしか無いから皮を剥いた白い薔薇だが、紅いリンゴを皮付きのまま煮ると、皮から色が出る。それを使えば、薄紅の薔薇ができるぞ」
「わわ、そしたら二色の薔薇ができるねー!早く紅いリンゴの季節にならないかなー!」
目を輝かせる姫を見て、サクナはほんの少し目元を緩めました。
「そうだな。そのためには、今から練習しておかないとな。とりあえず、これを巻いて薔薇にしてみろ」
「はい、マイスター!」
そのうち紅白の薔薇ができると聞いて、姫は更に張り切りました。
「出来た!」
「うん、よく出来てる」
お皿の上には、可愛らしい薔薇の花が形作られています。
「わーい!あ、バンシル!見て見て、できた!」
姫は掃除を続けながら近くまで来たバンシルを手招きして呼びました。
「これ、姫が?ちゃんと薔薇に見えますね…っていうか、それは何やってるんですか」
またリクエストを受けたサクナが無表情かつ機械的に姫を撫でているのを見て、バンシルは呆れて聞きました。
「これ?これはねー、マイスターが将来弟子を褒めて育てる練習!」
「…あー…そう、ですか」
バンシルはその様子を見て、この従者に下心があるかもしれないと思った自分が、馬鹿らしくなりました。
(…むしろ私と同類だわね。「姫のやりたい放題に巻き込まれる被害者の会」)
まだ姫と初めて会って二日しか経っていないのに同類と化した「マイスター」を見ながら、バンシルは「タンム卿はお人よし」という認識を改めました。
(タンム様だけじゃなかったわ。「南の男はお人よし」っと)
バンシルは心の中の覚え書きを、そう書き直すことを決めたのでした