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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第25章 二度目の果物細工講習
はじめてのお手合わせの翌朝。
スグリ姫はまたもバンシルにやいやい言われた末に寝床から出て、鏡の前で髪を梳かれておりました。

「あああああー、途中までうまくいってたのになあ、『お見合い』!」

鏡を見ると、昨日のお手合わせのことがまた思い出されて、姫は溜息を吐きました。

「タンム様は、『お気になさらず』って言ってくださったけどー…あんなに色々してくださったのにー!」

「お言葉通り、『お気になさら』なくてよろしいんじゃないですか?それなりにお楽しみになったと思いますよ、エロ策士様も」
バンシルは柔らかい茶色の髪のもつれを解きながら、姫の嘆きをばっさり切り捨てました。
昨日から姫の回想と反省に付き合わされているバンシルの心の覚え書きには、「南の男はお人よし、但しタンム卿は色事の手練手管を弄する策士」というメモが付け加えられていました。

「もー!変な仇名つけないでよー…」
(でも、確かにそう?かも…?)
服の上から…というのは、肌に触れられると即見合い中断となる特異体質を持つ姫にとっては、毎度のことではありました。
でも、今までの婚約者候補の殿方で、姫に自分で下着を脱ぐように促したり、姫のことをずっと見つめていた方は、ほとんどいらっしゃいませんでした。
ましてや、タンム卿のように下着を脱ぐのを「お手伝い」したり、じーーっと姫を見つめて、姫にも「見合いなのだからしっかり見ているように」と言って来た方など、皆無でした。
じっと見ることや、下着を自分で脱ぐことがあれほどまでに羞恥心をあおると言うのは、姫には新鮮な体験だったのです。

(やだ、なんか…むずむずする)

思い出しただけでなんとなく落ち着かない気持ちになってきて、姫はあわてて思い出すのをやめました。
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