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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第25章 二度目の果物細工講習
「こいつは今日はここまでだ。続きはまた今度やる」
サクナはそう言うと姫の手からオレンジとナイフを取り上げて、ナイフと姫の手に垂れた果汁を、布で軽く拭いました。
そして、箱からもうひとつオレンジを出して、ナイフと一緒にテーブルに置きました。
「これを、できるだけ薄く切ってみろ、横向きで」
「…横向きに、薄く」
「今日はこれに変更する。これの方が時間がかかるからな」
そう言うと懐から布の袋を出して、中身を掌の上にざらっと出しました。
「…これ、オレンジ?」
「ああ。薄く切って乾かすとこうなる」
よく見ると、オレンジ以外にも干した果物や香辛料のようなものが混ざっています。
(あ、これ。)
手のひらの上にざらっと広げられた果実達からは、前に感じたことのある香りがしました。
「これ、香り袋?」
「…非常食だ」
サクナは掌の上でもなく姫の方でもない、あさっての方を見ながら言いました。
「非常食?食べるためのものなの?」
「…食べるもの、でもある」
「じゃあ、食べられて、いい匂いもするもの…なの?」
「まあ、そんなとこだ」
「へえ…」
相変わらずサクナはこちらも手の上の果物も見ていませんでしたが、姫は納得しました。
(そうか。サクナからいい匂いがするのは、果物を作ってる人だからかと思ってたけど、これを持っているからでもあったのね)
「ねえ、これを作るなら、袋も要るの?」
「いや、持ち歩かないなら、乾いたら瓶詰めにしておくといい。…やってみるか?」
オレンジとナイフを指し示されて、姫は頷きました。
「うん。横に、うすーく、切るのね…こう?」
「もうちょっと薄くだな。その方が乾きやすい」
サクナに言われた姫は、もうちょっと薄く、と呟きました。
「分かった。このくらい?」
「そうだな」
「よーし…あ。」
今度は薄く切れました、が。
「…丸じゃなく、半分になっちゃった」
「形はどうなっても構わないけどな」
薄く乾きやすけりゃいい、と、半分になったオレンジをつまんで検分しながら、サクナは言いました。
「でも、丸い方が可愛いもん。よーし、薄ーく、丸く…」
呪文のように唱えながら切ったオレンジは、程よい薄さで丸く切れました。
「…うん、いいぞ。そのまま最後までだ」
サクナはそう言うと姫の手からオレンジとナイフを取り上げて、ナイフと姫の手に垂れた果汁を、布で軽く拭いました。
そして、箱からもうひとつオレンジを出して、ナイフと一緒にテーブルに置きました。
「これを、できるだけ薄く切ってみろ、横向きで」
「…横向きに、薄く」
「今日はこれに変更する。これの方が時間がかかるからな」
そう言うと懐から布の袋を出して、中身を掌の上にざらっと出しました。
「…これ、オレンジ?」
「ああ。薄く切って乾かすとこうなる」
よく見ると、オレンジ以外にも干した果物や香辛料のようなものが混ざっています。
(あ、これ。)
手のひらの上にざらっと広げられた果実達からは、前に感じたことのある香りがしました。
「これ、香り袋?」
「…非常食だ」
サクナは掌の上でもなく姫の方でもない、あさっての方を見ながら言いました。
「非常食?食べるためのものなの?」
「…食べるもの、でもある」
「じゃあ、食べられて、いい匂いもするもの…なの?」
「まあ、そんなとこだ」
「へえ…」
相変わらずサクナはこちらも手の上の果物も見ていませんでしたが、姫は納得しました。
(そうか。サクナからいい匂いがするのは、果物を作ってる人だからかと思ってたけど、これを持っているからでもあったのね)
「ねえ、これを作るなら、袋も要るの?」
「いや、持ち歩かないなら、乾いたら瓶詰めにしておくといい。…やってみるか?」
オレンジとナイフを指し示されて、姫は頷きました。
「うん。横に、うすーく、切るのね…こう?」
「もうちょっと薄くだな。その方が乾きやすい」
サクナに言われた姫は、もうちょっと薄く、と呟きました。
「分かった。このくらい?」
「そうだな」
「よーし…あ。」
今度は薄く切れました、が。
「…丸じゃなく、半分になっちゃった」
「形はどうなっても構わないけどな」
薄く乾きやすけりゃいい、と、半分になったオレンジをつまんで検分しながら、サクナは言いました。
「でも、丸い方が可愛いもん。よーし、薄ーく、丸く…」
呪文のように唱えながら切ったオレンジは、程よい薄さで丸く切れました。
「…うん、いいぞ。そのまま最後までだ」