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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第25章 二度目の果物細工講習
明後日は、二度目のお見合いの日でした。
いつもなら明日がお見合いなのですが、明日は月に一度、姫が母である王妃に会える日なので、お見合いは一日ずれて明後日になったのです。
「…次は、明後日の次の日でも、いい?」
姫がおずおずと聞くと、サクナは軽く承諾しました。
「良いぞ。むしろその方がそのオレンジが良く乾くだろうから、都合が良い」
「ほんと?良かった!乾くの楽しみだなー」
返事を聞いた姫は、ほっとした様子で引き出しの中のオレンジを見て、うっすらと微笑みました。
サクナはその様子を眺めていましたが、ふと何かに気付いたように、ぼそっと呟きました。
「今日は褒めてもいいのか?」
「褒めてくれてもいいの?」
今日は切っただけなのに?と、姫は俯いて小声で言いました。
最初に予定していた課題は結局ちゃんと出来なかったのですから、褒めてもらうのは気が引けたのです。
「ナイフで切るのは『だけ』じゃ無えぞ」
弟子を褒めるための義務を果たしながら、サクナは「いい機会だから、俺が最初にマイスターに教わったことを教えてやる」と、不機嫌そうに言いました。
「ナイフは刃物だ。使い方を間違うと『人』を傷付る」
「はい。」
姫は、自分を機械的に撫でているマイスターを見上げて、頷きました。
「だけどな、良く憶えとけ」
撫でていた手を止めて、少ししゃがんで目を合わせ、マイスターは姫に言いました。
「自分が一番最初に気に掛けなきゃなんねぇ『人』は、他の奴じゃなくて、自分だぞ。」
いつもなら明日がお見合いなのですが、明日は月に一度、姫が母である王妃に会える日なので、お見合いは一日ずれて明後日になったのです。
「…次は、明後日の次の日でも、いい?」
姫がおずおずと聞くと、サクナは軽く承諾しました。
「良いぞ。むしろその方がそのオレンジが良く乾くだろうから、都合が良い」
「ほんと?良かった!乾くの楽しみだなー」
返事を聞いた姫は、ほっとした様子で引き出しの中のオレンジを見て、うっすらと微笑みました。
サクナはその様子を眺めていましたが、ふと何かに気付いたように、ぼそっと呟きました。
「今日は褒めてもいいのか?」
「褒めてくれてもいいの?」
今日は切っただけなのに?と、姫は俯いて小声で言いました。
最初に予定していた課題は結局ちゃんと出来なかったのですから、褒めてもらうのは気が引けたのです。
「ナイフで切るのは『だけ』じゃ無えぞ」
弟子を褒めるための義務を果たしながら、サクナは「いい機会だから、俺が最初にマイスターに教わったことを教えてやる」と、不機嫌そうに言いました。
「ナイフは刃物だ。使い方を間違うと『人』を傷付る」
「はい。」
姫は、自分を機械的に撫でているマイスターを見上げて、頷きました。
「だけどな、良く憶えとけ」
撫でていた手を止めて、少ししゃがんで目を合わせ、マイスターは姫に言いました。
「自分が一番最初に気に掛けなきゃなんねぇ『人』は、他の奴じゃなくて、自分だぞ。」