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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第26章 女子会は踊る
「この話をこのまま進めても、差し支えないか?」

そう聞かれた姫は、王と王妃を、順番に見やりました。
王は真剣な顔を、王妃は少し心配そうな顔をしています。

「…はい。勿論です」
姫はそういうと、宜しくお願い致します、とお辞儀をしました。
王妃は姫をじっと見ていましたが、手元にあった紙にさらさらと何かを書き、王に見せました。
「姫」
「はい?」
「母上は其方に、誰かに遠慮したり必要以上に気を遣ったりすること無く、思った方に進むことを望んでいる」
「はい」
「それは、今に始まったことではなく、其方を育てる際に、母上と私で決めたことでもある」
「はい。」
「もしかすると、これが最後の見合いになるかもしれないだろうから、私達から其方に、もう一度伝えておこう」

そう言うと、王は王妃が先程したためた紙を、姫に渡して言いました。
「『どんな時であっても、其方の心の赴く方に進みなさい。それこそが、私達の願いです』」
と。



「…そうそう。お義姉様のことも、ハンダマ様が話しておられたんですよ」
「私のこと?」
レンブ姫の言葉に、スグリ姫はぼんやりした回想から覚めました。

「ええ。お見合いが順調に進んでいる報告を。ハンダマ様、自分が任されてるお見合いが上手くいくかもしれないって、張り切ってらっしゃって…もしかして婚礼が続くかもしれません、なんて…気が早いですわよね?」
自分の婚約者の話をしながらくすぐったそうに笑うレンブ姫に、スグリ姫は曖昧に笑いました。

「…そうねー。確かに、気が早いかもしれないわねー」
「でも、お義姉様。私気が付いてましてよ」
そう言うとレンブ姫にしては珍しく、にやっと笑いました。
「え?」
「お義姉様、タンム様がいらしてから、お綺麗になりましたわ」
「へ?そう?」
スグリ姫は、面食らいました。

(えーっと…穴の開いた靴下を履くのを自重してる以外は、何も変わんないけど…まさか、女子力の高いレンブから見たら、靴下の穴くらいの変化でさえも、お見通しなのかしら!!恐ろしい子!!!)

「ええ、お綺麗…楽しそう?生き生きしてるっていうか」
そう言うとレンブ姫は顔を寄せてじーっとスグリ姫を見詰めました。

「ちょ、レンブ。ハンダマがここに来たら決闘場に連れてかれるからやめて」
「ほら、肌もつやつや」
「レンブ、近い!近いって!!」

「…何なさってるんですか?」
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