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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第28章 三度目の果物細工講習
「よーし!今日こそ、オレンジの籠を作るぞー!」
「はいはい。頑張ってくださいね」
二度目の「お手合わせ」の翌日。
昨日の夜、「もうちょっとだったのに入らなかった」「どんなことしてももう無理だ」「もう一生結婚できない」とバンシル相手に散々泣き喚いた姫は、姫曰くの「オレンジの安眠効果」のおかげか、すっかり立ち直っておりました。
「バンシルは、今日は?」
「私はこのあとちょっと里に下がらせて頂いて来ます。一番上の兄のとこの赤ん坊が生まれたらしいので」
「え!とうとう?おめでとう!」
姫は手を叩きました。乳兄弟であるバンシルの兄は、姫にとっても親戚同然の親しい人物です。
「まあ、二人目なんで、そんなに大騒ぎってわけでもないんですけどね」
「でもお目出度いわよ。帰りはいつ?」
「今日中には帰りますよ、明日はお見合いですし」
バンシルは、姫のお手合わせの日の支度と終わってからの湯浴み、そのあとに愚痴を聞くところまでは、他の誰かに任せられない、自分の仕事だと思っておりました。
そのため、外へ出るお使いや用事などは、お手合わせの日は避ける様にしているのです。
「せっかくだから、もっとゆっくりして来たらいいのに」
いつものように髪を整えてもらいながら、姫はバンシルに言いました。
「今回はほんとに、顔見せだけなので。また赤ん坊がしっかりした頃に、ゆっくり帰らせていただきますよ」
姫はそれを聞いて、鏡越しにバンシルに言いました。
「ほんとに?!その頃なら、私も一緒に行ってもいいかしら?」
「ええ、もちろん。みんな、喜びますよ」
気にかけていただいてありがとうございます、とバンシルは微笑みました。
「さ、出来ましたよ」
「ありがとう!みんなにもだけど、ベラにもよろしく伝えてね!すっかりご無沙汰しちゃってるから」
バンシルの母親のベラは、スグリ姫の乳母でした。大人になってからは会う機会が少なくなりましたが、慕わしい人であることには変わりありません。
「はい、姫様。母にもよく申し伝えます」
バンシルは姫に、マイスター様にもよろしくお伝えくださいな、とからかった後、出かける準備をするために、姫の部屋から下がっていきました。
「はいはい。頑張ってくださいね」
二度目の「お手合わせ」の翌日。
昨日の夜、「もうちょっとだったのに入らなかった」「どんなことしてももう無理だ」「もう一生結婚できない」とバンシル相手に散々泣き喚いた姫は、姫曰くの「オレンジの安眠効果」のおかげか、すっかり立ち直っておりました。
「バンシルは、今日は?」
「私はこのあとちょっと里に下がらせて頂いて来ます。一番上の兄のとこの赤ん坊が生まれたらしいので」
「え!とうとう?おめでとう!」
姫は手を叩きました。乳兄弟であるバンシルの兄は、姫にとっても親戚同然の親しい人物です。
「まあ、二人目なんで、そんなに大騒ぎってわけでもないんですけどね」
「でもお目出度いわよ。帰りはいつ?」
「今日中には帰りますよ、明日はお見合いですし」
バンシルは、姫のお手合わせの日の支度と終わってからの湯浴み、そのあとに愚痴を聞くところまでは、他の誰かに任せられない、自分の仕事だと思っておりました。
そのため、外へ出るお使いや用事などは、お手合わせの日は避ける様にしているのです。
「せっかくだから、もっとゆっくりして来たらいいのに」
いつものように髪を整えてもらいながら、姫はバンシルに言いました。
「今回はほんとに、顔見せだけなので。また赤ん坊がしっかりした頃に、ゆっくり帰らせていただきますよ」
姫はそれを聞いて、鏡越しにバンシルに言いました。
「ほんとに?!その頃なら、私も一緒に行ってもいいかしら?」
「ええ、もちろん。みんな、喜びますよ」
気にかけていただいてありがとうございます、とバンシルは微笑みました。
「さ、出来ましたよ」
「ありがとう!みんなにもだけど、ベラにもよろしく伝えてね!すっかりご無沙汰しちゃってるから」
バンシルの母親のベラは、スグリ姫の乳母でした。大人になってからは会う機会が少なくなりましたが、慕わしい人であることには変わりありません。
「はい、姫様。母にもよく申し伝えます」
バンシルは姫に、マイスター様にもよろしくお伝えくださいな、とからかった後、出かける準備をするために、姫の部屋から下がっていきました。