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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第28章 三度目の果物細工講習
「宜しくお願い致します、マイスター」
いつものように、ご挨拶から。
果物細工講習が、始まりました。
「ああ、宜しく。今日は、まず、オレンジを剥いてみるか?」
はい!と返事をすると、姫はオレンジとナイフを持って、剥き始めました。
今回は落ち着いているので、オレンジはきちんとオレンジ色に剥けています。
三分の一ほど剥けたところで、サクナは一旦、姫を止めました。
「左手で、もう少し柔らかくオレンジを持てるか?」
「柔らかく?」
「ああ。こうなっちまわないようにな」
サクナは姫の手に垂れたオレンジの果汁を、指差しました。
「持つ手に力が入ってると、実が潰れて汁が出る。このあと、もっと剥けたところが増えるだろ?その時にオレンジを持ってる手に力が入ってると、全体が潰れちまう」
「なるほど…」
サクナが指差したところを見ると、確かに果肉が少し潰れています。
「剥くのが出来るようになったら、そういう所にも気をつけろ。最初だから力が入るのは仕方ないが、少しずつ、オレンジを持つ手にも気を付けるようにしてみると良い」
「はいっ」
言われたことに気をつけてみると、残りの部分は、そこそこきれいに剥けました。
「マイスター!全部オレンジに剥けました!!」
「よし。次は、それにナイフを入れて、薄皮からはずす」
貸してみろ、と言われてナイフと丸のまま剥けたオレンジを渡すと、姫の近くで、切って見せてくれました。
「なるほどー、斜めにVに切るのね」
「やってみるか」
オレンジとナイフを渡されて、切り目を入れますが。
「マイスター…」
「どうした?ちゃんと出来てるだろ」
切り出されたオレンジの方は、支障なく見えます。
「実が薄皮に、残っちゃいます…」
よく見ると、確かにサクナの切ったところよりも切り目の角度が浅いのか、薄皮に実が多めに残されています。
「まあ、最初はそんなもんだ」
「でも、なんか、もったいない」
全部の房を切り終えた姫は、左手に残った薄皮と果肉を見てしょんぼりしました。
「それ、寄越せ」
「はい?…あ。」
食べた。と姫が言うと、サクナは不機嫌そうに言いました。
「地元だと絞ってジュースにして残りは生ゴミとして肥料用に処理したりもするが、ここじゃ食うのが一番手っ取り早いし、効率も良い」
薄皮だって立派な食い物だからな、と言われ、姫も、それもそうだわね、と頷きました。
いつものように、ご挨拶から。
果物細工講習が、始まりました。
「ああ、宜しく。今日は、まず、オレンジを剥いてみるか?」
はい!と返事をすると、姫はオレンジとナイフを持って、剥き始めました。
今回は落ち着いているので、オレンジはきちんとオレンジ色に剥けています。
三分の一ほど剥けたところで、サクナは一旦、姫を止めました。
「左手で、もう少し柔らかくオレンジを持てるか?」
「柔らかく?」
「ああ。こうなっちまわないようにな」
サクナは姫の手に垂れたオレンジの果汁を、指差しました。
「持つ手に力が入ってると、実が潰れて汁が出る。このあと、もっと剥けたところが増えるだろ?その時にオレンジを持ってる手に力が入ってると、全体が潰れちまう」
「なるほど…」
サクナが指差したところを見ると、確かに果肉が少し潰れています。
「剥くのが出来るようになったら、そういう所にも気をつけろ。最初だから力が入るのは仕方ないが、少しずつ、オレンジを持つ手にも気を付けるようにしてみると良い」
「はいっ」
言われたことに気をつけてみると、残りの部分は、そこそこきれいに剥けました。
「マイスター!全部オレンジに剥けました!!」
「よし。次は、それにナイフを入れて、薄皮からはずす」
貸してみろ、と言われてナイフと丸のまま剥けたオレンジを渡すと、姫の近くで、切って見せてくれました。
「なるほどー、斜めにVに切るのね」
「やってみるか」
オレンジとナイフを渡されて、切り目を入れますが。
「マイスター…」
「どうした?ちゃんと出来てるだろ」
切り出されたオレンジの方は、支障なく見えます。
「実が薄皮に、残っちゃいます…」
よく見ると、確かにサクナの切ったところよりも切り目の角度が浅いのか、薄皮に実が多めに残されています。
「まあ、最初はそんなもんだ」
「でも、なんか、もったいない」
全部の房を切り終えた姫は、左手に残った薄皮と果肉を見てしょんぼりしました。
「それ、寄越せ」
「はい?…あ。」
食べた。と姫が言うと、サクナは不機嫌そうに言いました。
「地元だと絞ってジュースにして残りは生ゴミとして肥料用に処理したりもするが、ここじゃ食うのが一番手っ取り早いし、効率も良い」
薄皮だって立派な食い物だからな、と言われ、姫も、それもそうだわね、と頷きました。