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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第28章 三度目の果物細工講習
(『うん、いいな、いいぞ、上手だ』…?)

それは、昨日の「お手合わせ」で、聞いた言葉を思い出させました。

「…やっ!!」
その言葉とそれを聞いたとき自分がしていたことを思い出した瞬間、姫はその場にしゃがみ込みました。
(やだ、私、また…!違うのに、これはお見合いとは違うのに)
目をつぶると、ぐるぐる地面が回るような気がしました。

「…どうした!?」
籠の持ち手が出来たので、中身を出す説明をしようとしていたサクナは、姫の様子がおかしいことに気付きました。

「なんでも、ない…」
「おい、顔色が悪いぞ」
「だいじょ、ぶ」
覗き込まれて、姫はますます体を丸くしました。
かちかちに丸まっている姫を見て、サクナは椅子を持ってきました。
座れるか、と促され、姫はふらふら立ち上がって、そこに座りました。
座って何度か深呼吸をすると、少し落ち着いたように見えました。

「大丈夫か?」
「…ごめんなさい」
「気にするな。調子が悪くなる事は誰にでも有る」
今日はこれで終わりにするぞ、と言って立ち上がり、オレンジを片付けながら、サクナは姫に言いました。
「バンシルはどうした?呼ぶか?」
「…今日は、出かけてる」
そうか、と言って片づけを進めるサクナに、姫はぽつりと言いました。

「私、一生結婚できないかも」
「え?」
「もう、全部、無理、かも」
「まさか、あいつと何かあったのか!?」
サクナは顔色を変えて、俯いている姫の前に屈み込みました。下から見上げると、姫はぼろぼろ泣いています。

「ううん・・・タンム様は悪くないの、私がダメなの・・・」
「ダメって、」
姫が言うのを聞いたサクナは、心の中でタンムに腹を立てました。

(確かにちょっと物知らずだったり暴走気味だったりするが、素直だし明るいし可愛いし、何より、大玉スイカを運べるような女だぞ?タンムはこいつに何の不満があるって言うんだ)

「タンム様は悪くないの・・・今までの殿方の中で、一番一生懸命やさしくしてくれてるのに…」

姫がそう言うのを聞いて、サクナは今度は何だかもやっとしました。
そんな事には全く気付かない姫の独り言めいた呟きは、途切れることなく続いています。

「私が、我慢できないの…」
「…我慢できない、って…何が」

姫はとうとうしゃくりあげ始めました。サクナの問いへの答えは、返ってきません。

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