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第4章 マリコと加代子

「今日は誘って頂いてありがとうございます。」
彼女はニコニコしながら席に座った。

「私、佐原さんのファンで…会社に来ていた時に見かけてファンになったの。伊井さんに佐原さんと飲み行くけどって、私も誘って貰って嬉しかったです。」

彼女は佐原さんの顔をずっと見っぱなしだった。
僕の事は目に入っていないようだった。
普通ならこんな女にはドン引きだが、今日は違う。

佐原さんはこの女に任せ、僕はマリコと話せるし。


しかし、佐原さんは嫌な顔をせずにこの女性の話しを聞いていた。
きっとこの態度もモテる原因なんだな…と思った。
が…僕はこんな女はゴメンだ。
ゴメンだし、マリコが目の前にいるのに他の女の子なんて目に入らないよ。

僕はマリコの顔をずっと見ていた。
佐原さんの方を彼女が見ると、何とかこちらを向かせようと必死になってしまっていた。

なんて僕は馬鹿なんだろう…
そんな事を思いながらもマリコをこんなに好きなんだと実感した。