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あの星に届かなくても
第4章 過ちはまどろみの中
混乱しはじめる思考をはっきりさせようと、宗介はコーヒーを多めに口に含む。飲み込むと同時に耳元で、「それでね」という艶めいた囁きが響いた。
「市川くんにも協力してほしいんだけど」
寄り添ってくる女のぬくもりから逃れるようにカップをテーブルに置く。すると、ふん、と鼻を鳴らした紗恵がソファからゆっくりと立ち上がった。
「あなたなら、本当のことを知っても助けになってくれる気がしたのよね。意外と平和主義な人だから」
「言ったじゃないですか。俺にできることはなにもないって」
寂しげな後ろ姿に静かに声をかける。直後、急激に身体が熱くなってきた。
「……っ」
暖房が効いているからかと思ったが、そういう暑さではない。身体の芯に火がついているようで、じっとりと汗が滲む。耐えきれず、宗介は上着を脱いだ。
「ねえ、市川くん。私も言ったわよね。一緒にソファに座って、コーヒーを飲んでくれたらいいって。あなたはそうしてくれた。それで充分。感謝してるわ」
紗恵は背を向けたまま言うと、おもむろに服を脱ぎ始めた。頭から抜いたニットを落とし、ズボンに手をかける。
宗介は、驚きのあまりソファの背に深くもたれた。テーブルに置かれたマグカップを、まさか、という思いで見つめる。
「土屋さん……」
呼びかけても、彼女は無言を貫く。ぴたりとしたズボンを、こちらに尻を突き出すようにして下ろしていく。白いシースルーのショーツが尻の割れ目を露わにさせている。
下着以外をすべて脱ぎ捨て佇む女の背中を、宗介は呆然と眺めた。細い肩に流れる黒い艶髪、くびれた腰、丸く盛り上がった尻に、太腿の間にできたわずかな隙間が艶めかしい。目の前にいる女が性の対象にしか見えなくなってくる。制御できない欲望が下半身に熱を集め、呼吸を荒くする。