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あの星に届かなくても
第4章 過ちはまどろみの中

 女が、切なげに微笑んだ。

「寂しいのね、あなたも」
「え?」

 はっきりと実感したことのない感情を指摘され戸惑うと、再び冷たい手で頬を挟まれた。

「自分で気づいてないの?」

 呆れたように、だが愛おしげに言った女は、ひたいにそっと唇を押しつけてきた。鼻を優しく下りたら、両頬にひとつずつ口づける。唇を離すとこう囁いた。

「今だけ、あなたを愛してもいい? そうしたい気分なの、すごく。……だめかな」

 言葉を選びながら丁寧に口にした女は、俯き、ぎこちない手つきで艶髪を耳にかける。まさか照れているのか。女の急な心の変化についていけずただ無言で見つめ返していると、不意に肩を押され、宗介はソファの背に仰け反った。至近距離で目が合った直後、唇に柔らかな感触が押しつけられた。

「……っ」

 何度も、何度も、角度を変えて奪われていく。かすかに開いた唇の隙間から、女の熱い吐息と小さな艶声が漏れる。
 髪をかき回されながら湿った唇のやりとりをしていくうちに、意識がぼんやりと霞んでくる。薄目を開けていた宗介がまぶたを下ろすと、それを見計らったように、女の舌がひかえめに歯列を突いてくる。宗介は、自ら舌を無防備に晒した。

「んふ……」

 安堵ともとれる柔い声のあと、薄い舌が積極的に絡められた。頭を撫で下ろすその手は肩に落とされ、服越しに胸板と腹筋を確かめるように滑り、ボクサーパンツをずらし、未だ猛々しさを失っていない生身のそれを掴んだ。

「……っ」
「は、ん、まだ元気ね。それに熱い」
「うっ……」
「あ、またおっきくなった」

 女は重なり合う唇の間から色っぽく囁きながら、残酷な硬さを取り戻した分身をしごく。繊細で、しかし大胆で、男を知り尽くしているような動き。先走りが女の手のひらを濡らし、それを塗りつけるようにその手が筋を上下するたび、粘着質な音を発した。

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