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あの星に届かなくても
第4章 過ちはまどろみの中
「口でしてあげるね」
甘ったるい声で言った女が、ひざの上から降りて脚の間に座り込む。天を向く肉棒を再び握ると、上目遣いで含み笑いを浮かべた。
「……っ」
こんなにも感情が荒ぶるのは、コーヒーに仕込まれた“なにか”のせいだろう。宗介はそう思った。そう思わなければ、この昂りを説明する術がない。
好意から生まれた感情では決してないのだ。性欲と恋情を取り違えるほど経験不足ではないし、そこまで馬鹿でもない。そもそも、愛を受け取る気などさらさらない。ただ、こんなふうに得体の知れない負の感情を共有し、現実的な自分にほんの少しの間だけ嘘をついて、だらしない欲望に身を任せるのも悪くないかもしれない。
浅はかな気持ちを見透かしたように、女が舌を伸ばし、濡れる鈴口に這わせた。低く呻いた宗介に一瞬優しい視線を向けると、唇をすぼめて根元まで咥え込んだ。
「は、ぁ……っ」
生温かい粘膜に包まれ、抗えない快感に力が抜ける。宗介は思わず、女の髪を粗くかき上げた。
唇で締めつけながら上下され、それに加えて舌で裏筋をまさぐられる。唇の圧力と舌の感触、唾液を含んだ吸引音が興奮を煽る。
「んっ、んふ、んぅ……」
濡れた唇から艶声を漏らす女は、その片手を自身の下半身に忍ばせている。自分で弄っているのだろう。ソファの下から聞こえるかすかな蜜音がそれを証明している。
「おっひぃの……はぁく、ほひぃ……」
緩ませた唇から発される小さな甘え声は、加虐心を瞬時に呼び起こし、全身の血を沸騰させる。宗介は腰を動かしたくなる気持ちを抑えつつ、少しの征服欲を認めながら、分身にしゃぶりつく女を気だるく見下ろした。