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甘党な愛
第11章 十一

 しかも、これは盗撮では?

「キスなどしてません。八雲の唇を近くで見ていただけです」

「嘘ついてもダメだよ。ちゃんとこのビデオカメラでキスするところ写したから。これは家に帰って恵の父親に見せるからね」

「……じゃあ恵は……」

「結婚して貰うことになるね。勿論、椿君とは違う相手と……」

 ニコニコと微笑みながら話す鬼沢さんと会話していたが、私は唐突にビデオカメラへ手を伸ばした。……早く消させないと。何としてでも。

「っ……くっ……貸してください」

「ダメだよ……椿君……八雲とキスしといて、まだ恵と結婚したいのかな?」

 ビデオカメラを両手で掴み、お互い引っ張り合う。男だから鬼沢さんの力は私よりも断然強い。……しかし、負けられない戦いがここにある。

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