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甘党な愛
第11章 十一

* * *

 それからすぐにキッチンで夕食の準備をしていると、恵が謝ってきた。

「椿ちゃん、ごめん!一君が!」

「大丈夫だ」

「俺出掛けてたから、まさか一君来てたなんて知らなかった……」

「鬼沢さんから聞いたのか?」

 まな板の上で人参を切っていたが、恵の言葉に包丁を置くと振り返った。

「いや、八雲から聞いたけど」

 八雲が話したのか。私がキスしたことも話したんだろうか。……言っただろうな、全部。

「本当にごめんね……一君に今後こんなことがないように言っとくから」

「大丈夫だって」

 申し訳なさそうに眉尻を下げている恵へ微笑むと、私は再び振り返り包丁を使おうとする。だが……

「椿ちゃん……」

 後ろから恵が抱き付いてくると、包丁をまな板の上にポトッと落とした。

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