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甘党な愛
第13章 十三
一ヵ月後、屋敷を出ていくって言ってた……。結婚するとも。
「……葎、八雲が出ていくって知ってたか?」
「うん……幼馴染の彼女と結婚するんだよね」
「……」
私、どうしよう……。八雲が屋敷を出ていくのが嫌だ。結婚も……悲しい。
「あのアウトレイジ野郎が結婚するなんて、彼女相当良い子なんだろうな」
「そうだね。おしとやかで、可憐な感じの人かな……」
「可憐か……」
葎と会話しながら、八雲のことばかり考えてしまう。……いつからだ?八雲のことが気になり始めたのは。
「……」
ぼーっとしながら、考える。すると――パンケーキ店での八雲の姿が頭に浮かび、自然と頬が緩んだ。……やっぱりあの時、一緒にパンケーキ食べたから。八雲が可愛かったから、もっと八雲のことを知りたいと思ったんだ。昨日からこの気持ちは何だろうと気になっていたけど……ひょっとして。
「スイーツ仲間がいなくなるのが寂しいんだ……」
ハッとして呟くと、私は葎を置いてキッチンから急いで出る。そして、八雲の部屋へ向かった……。