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甘党な愛
第14章 十四
「だって……」
恵が助けを求めているのに放っておけない。女として魅力がないのなら、籍ぐらい貸しても……。籍しか、私に持っているものはないんだから。
「恵さんを助けたかったんでしょ……椿さん、優しいから」
葎も納豆を箸でぐるぐるとかき混ぜている。無表情で、そのスピードは一番速い。機嫌が悪いのか……唯一これまでの人生で私を好いてくれた男だから。私が恵と籍を入れて、怒ったかもしれない……。
「八雲は良いじゃん。親の選んだ相手でもなく好きな人と結婚出来るんだから!八雲に俺の気持ちは分からないよ!」
雰囲気最悪……。恵が怒ると、三人分の納豆を混ぜる音だけが、ぐるぐる…ぐるぐる…と食堂に響いた。そして食事が終わるまで、誰も一言も話さなかった。