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甘党な愛
第2章 ニ
* * *
恵の部屋のドアをノックすると何の反応もなく、私はそのまま思い切ってドアを開けた。
「恵」
「どうしたの?椿ちゃん」
「仕事してないって本当?私の給料、親のお金で払ってるって?」
恵はソファに足を組んで座り、ちょうどショートケーキを食べているところで、私が部屋に入っていくと笑顔で私の方へ視線を向けた。
「バレた?」
「バレたじゃない!この七光り給料泥棒!私、今日でメイド辞めるから!」
「……辞めるって、ちょっと待ってよ」
勢いよく話した私に焦ったのか、恵はショートケーキの乗った皿を持ったまま、ゆっくりとドアの前に立つ私へ歩み寄ってくる。そして、
「困るよ。俺も葎も家事と料理出来ないし。それに椿ちゃんが辞めたら、俺寂しいな……」
わざとらしく悲しそうに眉尻を下げて、私の耳元へ顔を近付けると小さな声で続けた。
「……俺知ってるんだよ。椿ちゃんの秘密」