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甘党な愛
第16章 十六

* * *

 それから正午を過ぎると、私は全員の部屋のベッドメイキングを始めた。恵と私の部屋は終わって、残りは八雲と葎の部屋。多分八雲は出掛けていると思っていたが、

「ベッドメイキングに来た……」

 一応ドアをノックして中へ入ると、ソファに八雲が座っていて驚いた。

「……」

 無言で読書している八雲。私がドアを開けると、一瞬こっちを見たが。そのまままた本へ視線を戻す。

「早く終わらせるな!邪魔しないから……」

 私は邪魔をしない様にそうっとベッドへ近付いていくと、ベッドのシーツを引っ張る。……――だが、すぐ自分の影に一つの影が重なったかと思うと、後ろから声がした。

「なぁ……」

「えっ!?」

「お前と恵って……いつまで籍入れとくの?」

「何で……」

 そんなこと聞くんだろう。そう思って質問しようとすると、ベッドの前に屈んだ姿でメイド服のスカートをぺろんと捲られ。

「まだボクサーかよ」

「っ!?」

「色気ねぇ」

 冷たく言われる。
 
「この……!」

 またかこいつ!まじ許さん……!そう怒って右拳で殴ろうとしたが、その手を掴まれ八雲の方へ体を引き寄せられると、一気に体中の熱が上昇した。

「椿、キス」

「っ……」

 何だ、この強烈な色気……。私なんかが目の前にしたら、腰が砕ける。
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