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甘党な愛
第19章 十九

 ――夕食後、キッチンで後片付けしていると、血相を変えて恵がキッチンに入ってきた。

「ちょっと椿ちゃん!さっきの何?!」

「恵……何って何が?」

「葎だよ!椿ちゃんのこと、こき使って!てかベタベタし過ぎ!」

 夕食の時のことだ。まさか秘密を知られているからなんて言えない。

「……甘えたい時期なんだろ?まだ二十歳だから」

「もう二十歳だろーが!甘えて良いなら俺も甘える!」

 皿を洗いながら答えると、後ろから抱きつかれて顔を青ざめた。

「ちょっと何してんだ!恵はもう二十六歳だろ!いい大人だろ!」

「椿ちゃ~ん」

 何してんだ、こいつは!抱きつかれたまま、顔を頭にすりすりと擦り付けられると、水道を止めて恵の体を振り払おうとする。……が、

「……」

「……!」

 キッチンの入り口から八雲が冷たくこちらを睨んでいることに気付くと、慌てながら呼び止めた。

「八雲、ちょっと待って!」

 誤解だ!恵のせいで!

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