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甘党な愛
第19章 十九
* * *
そのまま恵を押し退け八雲の部屋へ行くと、私は恐る恐るドアを開け、部屋の中へ入った。
「八雲……話がある」
「……何だよ」
「さっきのは、恵が勝手に抱き付いてきたことで!」
ソファに座り読書していた八雲から不機嫌そうに返事をされると、すぐに言い訳しようとする。だが……何故八雲に言い訳しないといけないんだろう。八雲は別に私が誰から抱きつかれようが怒らないし、興味ない筈だ。
「やっぱり良い。おやすみ……」
私はくるりとドアの方を振り向き、そのまま部屋から出ようとする。
「メイド」
「な、何?!」
「酔った。キスしろ」
呼び止められ冷たく言われると、不思議になったが。
「お酒飲んでたっけ……?」
飲んでいるところは見ていない。またこっそり飲んだんだろうか。
「出来ねーなら良い。出てけ」
「する!」
考えている間にまた冷たく言われると、私は即答して八雲へ近付く。そして八雲の隣に座ると、頬へ軽く口付けた――……