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甘党な愛
第20章 二十

 幸せは続かないなんて、そんな言葉信じなかった。幸せは自分の心が作るものだ!自分が幸せだと思えば、苦難も幸せへと変わる!そう自分に言い聞かせ続け、生きてきた。だから――

「椿、見つけたよ。明香さんがメイドとして働いてるって教えてくれたからね。"メイド 都内 椿"でネット検索したら、偶然椿の記事をFacebookに上げてる男がいたんだ」

「星窪(ほしくぼ)……!」

 午前7時。屋敷のインターフォンが鳴り、こんな早くに客人かと不思議になりながら門を開けると、門の前にスーツ姿の男……星窪が立っていた。

「チャラそうな男だったけど、助かったよ。椿の場所を特定出来たんだから」

 星窪は実家の使用人で、私達姉妹の教育係でもあった。年は35歳で、もう良い大人だ。

「恵のことか……?」

「さあ、家へ帰るぞ」

 不思議に思っていると、星窪から腕を掴まれる。

「ちょ、ちょっと待って!家には帰りたくない!」

「我が儘言うんじゃないよ。もう反抗期は過ぎてるんだから」

「誰かぁぁぁ!」

 そのまま抵抗するも星窪の力には敵わず、門の前に止めてある実家の車に無理矢理押し込まれてしまった。……まさか星窪がここに来るなんて。見つかるなんて。明香姉さんめ!恵め!

「……」

 私はそのまま急発進する車の中、呆然としていた。
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