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甘党な愛
第20章 二十

 ――実家に着くと星窪は私を私の部屋へ連れて行き、ドアの前で偉そうに立つと微笑んだ。

「椿、久しぶりの家はどうだ?落ち着くだろ?」

「全然……」

「それより、よくお前にメイドなんて仕事が出来たな。家事、料理なんてしたことないくせに」

「家を出てからしたんだ!今は家事も料理も得意だ!」

 腹が立つ。さっきからずっと。星窪の顔を見てからずっと。

「へぇ……凄いじゃん。それならすぐ、お嫁に行けるな?」

「……それって」

 屋敷に戻りたい。そう思っていると星窪の言葉に、一瞬思考が停止した。

「明香さんから聞いた。明香さんの変わりに、お見合いしたんだって?」

「それは姉さんのせいで無理矢理……」

「その事を聞いて社長も気が変わったらしい。椿、お前がこないだの見合い相手と結婚することになった」

「は?!い、嫌だ!そんなことなら、出ていく!」

 どうせ明香姉さんが結婚しないとごねたんだ!それで仕方なく私に!

「無理だ。相手方と、もう話はついてる」

「そんな……!」

 相手というのは葎のこと。葎も結婚に合意したのか……?

「今からウェディングドレスを選びに行くから、ついてこい」

「……!」

 冷たく笑いながら私の手を握る星窪。その言動に驚きながら、私は手を振り払おうとする。

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