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甘党な愛
第20章 二十
いらないわって……。このおばさん、相変わらずだなぁ。
「結婚したら、戸籍が相手側に移るでしょ?それでも良かったんだけど、結婚しないのならこうして貰うしかないのよ」
「……分かりました。書いて役所に出しておきます」
「ありがとう」
ぼーっとしながら、分籍届をスカートのポケットにしまう。すると私は、すぐ逃げるようにドアへ向かって歩き出す。
「じゃあ……」
「ああっ……!」
唐突にママが切なげな声を出しながら膝から床へ崩れ落ちると、立ち止まるしかなかったが。
「ママ……?」
「何で分かってくれないのよ……ここまでしても貴方は……」
「……」
泣いている。人魚座りして、ママが泣いている。でも、何故だ……?