この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘党な愛
第20章 二十
「ママ、どうしたの……?」
「椿ぃ~貴方は~親心が分かっていないのよぉ~!」
「……」
ヤバい。今度はミュージカル調に歌い出した。ママは有名なミュージカル女優。……だけど、正に今ここで歌うタイミングか?
「赤ん坊の頃からぁ~!愛情注いで育ててぇ~きたのにぃ~!何故反抗ばかりぃ~するのぉ~!」
「……」
ヤバい。ヤバいぞ、このおばさん。……でも、
「反抗されてぇ~悲しまない親はぁ~いないのよ~……」
心に響くのは何故だ。……反抗したのは、ママが冷たかったから。おやつくれないし、厳しく叱ってきてばかりだったから。その理由を、血の繋がりがないからだと思っていたから。
「血の繋がりはないけどぉ、私の子よ、椿ぃ~。生みの親とかぁ、関係ないぃ~」
「……」
「反抗だけはぁ、やめてぇ~。ママ~メンタル強くないからぁ~。心はぁ~サランラップの薄さだからぁ~」
「……」
「あの時期はぁ~更年期もぉ重なってぇ~」
「もう止めてくれ」
ボロボロと顔を濡らしながら泣きつつ歌うママを見て、私は冷静に言い放つ。