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甘党な愛
第20章 二十

「ママ、どうしたの……?」

「椿ぃ~貴方は~親心が分かっていないのよぉ~!」

「……」

 ヤバい。今度はミュージカル調に歌い出した。ママは有名なミュージカル女優。……だけど、正に今ここで歌うタイミングか?

「赤ん坊の頃からぁ~!愛情注いで育ててぇ~きたのにぃ~!何故反抗ばかりぃ~するのぉ~!」

「……」

 ヤバい。ヤバいぞ、このおばさん。……でも、

「反抗されてぇ~悲しまない親はぁ~いないのよ~……」

 心に響くのは何故だ。……反抗したのは、ママが冷たかったから。おやつくれないし、厳しく叱ってきてばかりだったから。その理由を、血の繋がりがないからだと思っていたから。

「血の繋がりはないけどぉ、私の子よ、椿ぃ~。生みの親とかぁ、関係ないぃ~」

「……」

「反抗だけはぁ、やめてぇ~。ママ~メンタル強くないからぁ~。心はぁ~サランラップの薄さだからぁ~」

「……」

「あの時期はぁ~更年期もぉ重なってぇ~」

「もう止めてくれ」

 ボロボロと顔を濡らしながら泣きつつ歌うママを見て、私は冷静に言い放つ。

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