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甘党な愛
第7章 七

「恵はな、親から結婚しろって言われてたんだ。相手がいないなら親の選んだ相手と結婚させられるところだった。だからお前に婚約者のふりをさせたんだ。男って言ったのは親への反発心からってのもあるだろうけど」

「……」

 八雲の説明もあまり頭に入らない。頭を掴まれたせいで髪もボサボサだし、メイド服も乱れた。今は、どうやってここから夜逃げするか……ということしか、考えられないのは全部こいつら三人のせいだ。

「悔しかったら、俺達を見返してみろよ」

 悪魔の様に八雲が微笑む姿を、放心状態のまま見つめる。

「おい、聞いてんのか?メイド」

 しかし――……

「……」

 それ以上何も出来ず、私は無言で立ち上がると八雲の部屋を急いで出た。

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