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エレーナ先生の日常
第1章 魔性の女【エレーナ・アドラー】

「おいっ!聞いてんのか?アンタ誰!?」


イラ立ってるのか、男子生徒が強く聞いてきた。


「………」

エレーナは二人を見たあと、無言で歩きはじめる。

「っ!?おいっ無視すんなっ!!誰だって聞いてんだっ!!」


男子生徒が通路側まで来て怒鳴る。


「……人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るのが礼儀ではないのですか?」

エレーナは面倒臭そうにため息を吐き、後ろから顔を向けて言う。

「アンタ、俺の事知らないのか?」

「あら、あなた芸能人?…でも見たことないわね!
もしかして、あまり売れてないの?」

「………………」

「………………」

無言だが、お互い鋭い視線で対抗していると女子生徒が本棚から顔を出し、「零夜ぁ」と弱々しく呼ぶ。

すると、男子生徒がニヤッと意地悪な笑みを浮かべ、女子生徒の肩を掴み自分に引き寄せて、

「チュッ♥️」

「…!」

女子生徒の頬にキスをした。

「……………………」

突然の事で、エレーナは驚き目を大きく見開く。

男子生徒はニヤニヤ笑い、「うらやましいか?」
「自分もこうして欲しいだろ!」と視線で訴える。

「………………………」

「なに見とれてんの?もしかして処女?」

「…………は?」

「アンタ、処女だろ?男を知らない…処女の匂いがする」

「だとすると、悪いことしちゃったカナ?今のキス
刺激が強すぎたかな?バージン先生には!?」

男子生徒はわざとらしく「処女」「バージン」の言葉だけ強く言う。

「え~っわかるのぉ?」

女子生徒は甘えた声で男子生徒に寄り添う。

「俺がわからないわけないだろ!」

男子生徒が女子生徒の耳もとで甘く囁く。
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