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キミを愛シテ溺れてる
第4章 *キミを愛シテ溺れてる 2

好きだと気付いたのはもう少し先のことだけど、これが風子との出会いだった。

* * *


高校生から知り合ったのは、嘘。
でもそれは、今の彼女にとっては本当のこと。

もし、またハートのネックレスを贈ったら本当の出会いを思い出してくれるだろうか。

記憶を呼び戻すための材料となって……。

俺を見て何も思い出さないんだから、確率はもっと低いと思うけど……。


三年前、ある事件があって風子は記憶を失った。

家族や友達、勉強、十六年間生きて知ったことを忘れたようだった。

傍にいた俺のことさえも、すべて……。


記憶を失う前にあったことを教えれば、振り向かせるのは容易なことなんだろう。

でもこちらから教えられない理由がある。

だから、高校で出会う前から知り合いだったことをずっと隠してきた。


……これからも、一生黙っておくつもりだった。

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