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キミを愛シテ溺れてる
第5章 *キミを愛シテ溺れてる 3

父さんが言ってきたことは心に引っ掛かることでスマホの画面に触れていた指が止まる。

モヤモヤしていた俺は顔を合わせずに悩んでいたことを聞いてみた。


「……伝えるなって言われたことでも言っていいの?」

「友達と約束でもしたのか?どうしたらいいのかくらい分かるだろ。自分が後悔しない方を選べばいいんだ」

「…………」


「塑羅緒は真面目すぎるからもっと柔軟になっていいと思うよ」

「むっ……」


「はははっ、それくらいで怒るなって。おっと、母さんから電話だ。……もしもし、塑羅緒は元気みたいだよ。……うん、愛してるよ」

電話を取った父さんは、母さんにくさいセリフをまた言っている。
子供が思春期を迎えても変わらずにいつもこうだ。

聞いてる方は呆れてしまうけど、さっきのことを考えれば父さんも母さんに伝えたいから言っていることになる。


伝えたいことを伝えられるのは、どれほど幸せなものなんだろう。

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