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キミを愛シテ溺れてる
第5章 *キミを愛シテ溺れてる 3
『そこまではオレも分からねえ。でもお見舞いには行かない方がいい。噂によれば頭を打ったせいで記憶がなくなったらしいからな』
「記憶喪失……?嘘だろ……」
記憶がないなんて何かの間違いに決まってる……。
『電話も通じないし、メールを送っても前みたいに返って来ねえ。だから嘘じゃねえよ。オレ達のことはもう忘れてるってことだ』
颯太の言っていることを理解するのを拒み、すぐに信じることができなかった。
嘘であって欲しいけど、嘘だとしたら颯太の声に迷いが生じるからすぐに分かる。
これは、本当だ……。
通話を終えてから体の力が一気に抜けて俺は膝から崩れ落ちた。
思考がフリーズして、後悔という痛みだけが次々と胸の内に突き刺さってくる。
また大切な人を失ってしまった……。