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キミを愛シテ溺れてる
第5章 *キミを愛シテ溺れてる 3
守れたと思っていたけど、守れていなかった。
でも、風子はまだ生きているんだからもう一度やり直すことができる。
もし、忘れられていたとしても思い出すことがあるかもしれない。今まであったことも話せばいい。
悲しい時でも前を向いていた風子を見習い、俺も落ち込んでばかりいないで記憶喪失について色々と調べた。
強い衝撃で記憶を失ってしまう他に、目に留まる症状が一つあった。
でも頭を打ったんだから違うだろう。いや、そうであって欲しいと思った。
伝えようとしていたことが当たっていたら、風子は夏休み明けに俺の通っている高校に現れるはず。
僅かな希望を信じて待った。
長かった夏休みが終わり、二学期が始まった。
廊下を歩いていると風子に似たような女の子を見掛けて、冷えていた心が温まるように胸が高鳴る。
すれ違う直前にその子がピンク色のドット柄の筆箱を落として、偶然にも話し掛けるチャンスがやって来る。
それを逃さないように俺は筆箱を拾った。
「はい。落としたよ」