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キミを愛シテ溺れてる
第5章 *キミを愛シテ溺れてる 3
しかし、悲しい顔をしていた面影はなくて無垢な明るさを感じた。
目の前にいる人は俺の知っている風子ではない。
だから俺は……初めて会ったふりをした。
「よろしくね。……乙羽さん」
「えっと……、先輩の名前はなんて言うんですか」
作り笑顔の裏で心がズキッと痛む。
「なあ、風子ちゃん。こいつの名前の漢字読める?難しいってよく言われてんだよ」
海田はそう言って部活動申請用紙に書いた俺の名前を風子に見せる。
読めないと言う人が多いから眉をひそめられるかと思いきや、逆に微笑まれた。
「はい、読めますよ。そらおって読むんですよね」
「…………」
「すっげー!おれなんて最初は読めなかったよ」