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キミを愛シテ溺れてる
第5章 *キミを愛シテ溺れてる 3
「なぜだか分からないけど、パッと頭に思い浮かんできて読めたんです。見たこともない漢字なのにどうしてでしょうね」
記憶を失っていても、名前の読み方を覚えていてくれたことが嬉しかった。
ほんの些細なことだけど希望を感じた。
いつか俺のことを思い出してくれる日が来るかもしれない。
夏休み前の頃のように戻れる日が……。
部活動申請書が無事に通って活動を始めてから、部室で風子と二人っきりになることが多かった。
自然と話す機会も増えて、少しずつ俺に心を開いてくれた。
高一の夏休み前までの記憶がないことも打ち明けられて、そっくりさんではないことも確信できた。