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キミを愛シテ溺れてる
第10章 名前を呼んで……
私を知っているんだから、誰でもいいわけではない。
何かの目的があって私を狙っている……。
身の危険をひしひしと感じていて頭が回らない中、それだけは理解できた。
恐怖で力が抜けて動けないでいると、いきなり両手を解放されて目の前で起きている状況を知る。
他の誰かが足音を忍ばせてここにやって来ていた。
男は背後に立つ別の誰かに殴り掛かっていき、反撃されて尻餅をついていた。
その後、何やら話をしてから男は走ってどこかへ逃げて行った。
暗くてよく見えないけど助けてくれた人が誰なのか分かる。
「ソラ先輩……」
自分が思っていたよりずっと怖かったようで震える声で名前を呼んだ。
「大丈夫?怪我をしたり、何かされたりしてない?」
肩に触れられて先程までの恐怖が少しずつ和らいでいく。
「押さえつけられただけなので大丈夫です。ただ……」
「ただ……?」