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キミを愛シテ溺れてる
第10章 名前を呼んで……
「それなら分かりました。お迎えよろしくお願います。
でもちゃんと連絡する分、これから私のことを“風子”って呼んでください」
記憶をなくす前は名前で呼んでいてくれたけど、理由があってソラ先輩は私のことをずっと苗字で呼んでいる。
母親から受けた傷といじめで限界になった私は記憶を失った。
そのつらい時期にソラ先輩が私を支えてくれていて関わっていた。
だから名前で呼ばれると過去の嫌な記憶が蘇って体調を悪くする。
ソラ先輩は何一つ悪くないのに無意識にこうなってしまう。
「……苦しい思いをして欲しくないからまだ呼べないよ」
「もう大丈夫です。乗り越えるものは乗り越えました」
「そう言って一人で泣いてる時もあるくせに」
「間違ってないですけど……。いつになったら私を名前で呼んでくれるんですか」
「しかるべき時が来たらかな。それともふーちゃんって呼ぶ?」