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キミを愛シテ溺れてる
第10章 名前を呼んで……
まさかと思ってゴミ箱を見てみるとコンドームが入っていた袋が捨ててあり、自分のおりものだと知ってホッとする。
私を傷つけるようなことをする人ではないから当然かと思い、心が温かくなる。
着替えてから、いい匂いがする方へ行くとソラ先輩が台所でご飯を作っていた。
邪魔をしないように後ろから近づいてみると、フライパンで卵を焼いているみたいだった。
「これはスクランブルエッグですか」
「違う。卵焼きだよ」
どう見てもボロボロしている。
ここから巻くのは不可能と言ってもいいほどで、卵焼きと言うにはあまりにも原形をとどめていなかった。
口では卵焼きと言っていても、違うと分かっているのか私の方を向かず耳を赤くしている。
なんでも上手くいってそうなソラ先輩でも失敗することはあるんだ……。
内定が決まらなくて凹んでいたけど、なんだか元気が出てきた。
にっこりと笑った私はソラ先輩に後ろから抱きつく。