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キミを愛シテ溺れてる
第10章 名前を呼んで……
「焦らなくてもこれから何度でも呼ぶから。ねっ、……風子」
長い間付き合ってきてやっと名前で呼んでもらえた。
声にされて心にすぅっと響くのは、記憶を失くす前の私のことをそう呼んでいてくれたからなんだろう。
「ありがとうございます。そっ…、そら……、ソラせんぱい」
「俺はいつまで経っても先輩なんだね。一つ年上だけど風子とは最初から対等に付き合ってるつもりだよ?」
「対等なのは嬉しいですけど、私はあなたのことを尊敬しているんです。だから人生の先輩ってことで先輩をつけて呼びます。
でも今度は名前の方で呼んでるつもりです」
「ふむ。今度は俺がお預けか……。まあ、いいか。そのうち先輩から変わるだろうし」
「え?何に変わるんですか?」