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キミを愛シテ溺れてる
第12章 王子様の嫉妬が甘くて激しい愛に変わる時
「はい。これでまた自由ですよ」
自分の中では割と早く帰って来れたからそれを誇るように微笑むとソラ先輩に手首を掴まれた。
近くにいた秋から距離を取っているかのように急ぎ足であてもなく大学の敷地内を歩く。
「あの……、海田先輩は?」
「彼女が仕事が終わって来たから迎えに行くって」
「莉乃さんも来るんですね。会うのが楽しみです。それでどこで待ち合わせですか?」
「まだ分からない」
「じゃあ、今はどこに向かってるんですかね?」
「どこか。乙羽さんとゆっくり話せる場所がいい」
足を止めて私のことを見てきたソラ先輩は冷静そうだけど、どこか焦りを感じているように見えた。
元恋のライバルを見掛けたのが相当嫌だったのだろうか……。
心配そうな顔を向けてみると、私の手首を掴んでいた大きな手が下りてきて指を絡めてくる。