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陽向の恋
第3章 三

「俺が守らないと……苗ちゃんのこと」

 もしかして……陽向はずっと私を守ってくれてたの?私の胸を、いやらしい視線から?気付かなかった……。

「陽向、昨日はごめんね。怒って……」

「ううん!良いんだ!今日こそ、帰ってイチャイチャしようね?」

「うん……」

 頭を撫でられていた手がまた腰へ回されて、ぎゅうっと抱き締められる。

 私、凄く誤解していたのかもしれない。陽向は巨乳星人って。私よりもおっぱいが好きって。でもやっぱりこうして抱き締められると、愛を感じる。

「苗ちゃん……その……」

「何?陽向、何そわそわしてるの?」

「……くっついてたら、たっちゃった……」

 私の肩から顔を離して、陽向が冷や汗を滲ませながら話し掛けてくる。その姿を不思議に思って質問するも、返事を聞いて脳内にちーんと仏壇の鐘の音が鳴った。

「……」

 たっちゃったって……会社で?いや、まさかね。それはないよね。違う何かがたったんだろう。髪の毛とか……他に立つものって何がある。

「えっ……たっちゃったって……早くしぼませてよ!」

「そんな風船みたいに……無理だよ……エッチしないと……」

「だって、会社で出来ないでしょ!そうだ、トイレ!トイレで抜いてきて!」

 私から離れて、あわあわと狼狽える陽向。そんな陽向を見ながら閃いて、私は思わず陽向のネクタイを引っ張り会議室から出そうとする。

「……トイレは、恥ずかしいから嫌だ……」

 だが陽向が顔を赤らめて呟く。その言葉に苛立ち、私は更にネクタイを引っ張った。

「何言ってんの!男でしょ!さっさとトイレへ……」

「ここでしよう?」

「はっ?!」

 そのまま陽向の言葉に驚いて、一瞬呆然としてしまったが。陽向の表情が急に雄へ変わっていることに気付き、どくんと鼓動が跳ねる。

「……苗ちゃん……あんまり声出さないよね」

「……」

 出さない方だとは思う。けど、会社は無理でしょ。

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