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陽向の恋
第4章 四
* * *
「ねぇ三浦さん」
「はい?何ですか?杉本さん」
「映画好きって言ってたよね?映画の無料券貰ったから一緒に観に行かない?」
あの後昼休憩が終わるまで、陽向と会議室で過ごした。行為が終わっても、陽向がもっと一緒にいたいと言ったからだ。それからデスクへ戻って、仕事を始めた。
時刻は三時。小休憩の時間。急に営業の杉本さんが近寄ってきて、映画に誘われる。それに戸惑いながらも、私はすぐに断った。
「あー……でも、最近映画にあきてきて……」
「だよね!じゃあドライブ行かない?」
「ドライブも……あまり、好きじゃなくて……」
「だよね!だよね!じゃあ、俺の家でまったりと読書でも……」
そういえば昼休憩の時、陽向が杉本さんも私の胸をじっと見てるって言ってたっけ。言われて見れば、ずっと杉本さんの視線は私の顔ではなく、……胸だ。全然、こっち見ない。
「……すいません。良いです」
「良いって何?家に来てくれるってこと?」
「いや、ちょっと、マジで……」
うざいんじゃぁぁぁ!そう心の中で叫んだ瞬間、陽向の声がした。
「杉本さーん、会社でナンパしちゃダメですよー」
「戸塚(とづか)!」
「あんましつこいと、三浦さんから訴えられますよ」
営業回りしていた筈なのに、帰ってきたんだ。杉本さんへニコニコと笑いながら話す陽向を見て、私はほっと安堵した。