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陽向の恋
第5章 五
「お断りしますって、おい!こら!はえーんだよ!ふるのが!忍者か!お前は摺り足で走る忍者か!」
「意味がよく分かりません……」
「だあ!もう!……三浦の言うとおり、三浦の胸に魅力があるのは確かだ。けどな、それ以上にお前の人間的なものに惹かれてんだよ、俺は!」
「でも、私……」
彼氏がいるので。そう告げたいけど、誰だ?会社の奴か?となると困る。……陽向と付き合っていることは内緒にしておきたいし。でも、ちゃんと断らないと。
「課長は、年齢が上過ぎるので……申し訳ありませんが、恋愛対象に入りません」
「そう来たか!そう来ると思ってた!だから俺は策を練ってたんだ!」
「策……?」
私が冷たく断っても、お構い無しといった風に話す加地課長。その態度と言葉に不思議になりながら、私はポカンと口を開ける。
「今度の社内旅行、俺と回るぞ!回って、俺がまだまだ若いこと証明してやる!」
「えっ……社内旅行で……えっ?!」
「良いか?これは課長命令だ。くれぐれも社内旅行、休むなよ」
「……い、嫌です!社内旅行は花菜と回るんですから!」
課長と回ったりしたら、陽向が怒るに決まってる!それに課長と回るつもりなんて、さらさらない!
「三浦、楽しみにしとけよ」
「……」
私を見ながらニヤリと笑う課長。その笑顔を見て、私は静かに心の中で誓っていた。
よし、社内旅行の日は休もう――……