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陽向の恋
第5章 五
* * *
「ただいま……」
「お帰り~、今日は苗ちゃんの方が遅かったね!何処か寄り道してたの?」
あれから帰宅して、リビングへ入る。すると先に帰っていた陽向から質問されて、私は一瞬黙り混んだ。もう私服に着替えている。営業の方は今日残業なかったんだ……。
「……」
「苗ちゃん?何かあった?」
のんびりとソファに座ってゲームの真っ最中である陽向は、心配そうに私へ尋ねる。たまには、夕飯作らんかい……って、いや、そうじゃなく、加地課長のことを話すか、話さないか、どうしよう……。
「えぇっと……」
昨日の杉本さんの件だけであんなに怒ったんだ。告白されたなんて言ったら、陽向はどうなるんだろう。『かめはめ○ー!』でも出すんじゃなかろうか。
「どうしよう……」
鞄を肩にかけたまま、リビングのドア前でポツリと呟く。
「本当にどうしたの?顔色青いよ?熱でもあるのかな~」
そんな私へ陽向がゲームをソファに置き、近づいてくる。何故か私は緊張して後ずさってしまったが、そのまま陽向から額を触られて、固まった。
「熱はなさそう。良かった!」
こんなに良い子に嘘をつくことも、黙っていることも私には出来ない……。勇気を出して、全て話してしまおう。