この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
陽向の恋
第5章 五
そんな私に気づいたのか陽向はビクッとして、慌て始める。
「いや、だから、苗ちゃんの魅力が全部分かるのは俺だけってことだよ!勿論、苗ちゃんの魅力はいっぱいあるよ!でも課長には……微塵たりとも分からないんじゃないかな?」
「……」
「ね?苗ちゃん。苗ちゃんを心から愛しているのは俺だけなんだよ」
黙り混む私へ、急にキリッとしながら話す陽向。……何をカッコつけてるのよ。そんなこと言っても、私の怒りが収まるわけない。でも、こうして喧嘩して、長引くのも嫌いだ。
「……ごめん、怒ったりして。とりあえず、社内旅行は休むから……」
「俺の方こそごめんね……後、苗ちゃんのこと信じてるよ。課長のことまたちゃんと断ってね?」
「うん……」
そのまま私に抱きついてきて、陽向は私の頭へ頬擦りする。だが私は無表情で、まるでぬいぐるみの様にされるがまま、能天気な陽向からちゅっちゅっと頬へ何度も口付けられていた。