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陽向の恋
第6章 六
* * *
四国の空港からバスで温泉地に到着して、時刻は11時。旅館でチェックインしながら先に到着している職員達を探す。
「あ、はい、はい、そうですか!分かりました!」
フロントでチェックインしている加地課長の後ろで、職員の一人に電話する花菜。そのまま電話を切り、残念そうに話し出した。
「皆先に観光してるって。どうする?皆を追い掛ける?」
……ということは、陽向もそこにいるのか。そりゃもちろん。
「追い掛けよ……」
「もう追い掛けても無理だな。三人で回るぞ」
私の言葉を遮りながら加地課長が話して、旅館の玄関へ向かって歩き出す。その光景に驚いたのは私だけじゃなかった。
「えぇ~!課長、私達とで良いんですか?」
「仕方ねーだろ。子守してやるよ」
「子守って何ですか!子守って!」
花菜に同感だ。何が子守だ!花菜は可愛いし、本当は一緒に回れて嬉しいくせに!
「ちょっと苗ちゃん、どうする?課長いたら面倒だよね?好きなとこ回れないよね?」
「うん……」
花菜は可愛らしい雰囲気とは違い、毒舌だ。課長に聞こえない様にこっそり耳打ちされて私は頷くも。
「でも仕方ないか……皆を探しながら回ろう」
「うん……」
「課長、まずは何処行きます~?」
ニコニコしながら課長を追い掛ける花菜を見ながら、私も渋々歩き出した。……陽向には『ついたよ』とLINEしておこう。その内会うだろうし、会って謝ろう。
「はあ……」
私はまたため息を吐いて、そのまま二人についていった。