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陽向の恋
第6章 六
……――温泉街にある商店街。暫くはそこを三人で探索していた。のだが……何故こんなことに。
「苗ちゃん、浴衣可愛いね!」
「あ、うん……」
商店街の中にあるレンタルの浴衣屋。その前を通った途端、花菜が浴衣を着たいと言い出して、花菜と二人で着ることになった。5分ぐらいで着替え終わって、試着室を出る。ウキウキして可愛らしい花菜の浴衣姿。を横目に見て、私はおずおずと試着室の前に立っている課長を見た。
「……」
無言。何もお世辞出ないのかよ。そう思いながら下駄を履いて、レジへ向かう。だが……
「行くぞ」
「えっ?でも支払いが……」
「払ったから」
当然の様に言いながら店から出る課長に、私は頭を下げた。
「ありがとうございます……」
良いんだろうか。払って貰って。お金返さなくて良いのかな……。私は戸惑いながら、続いて店を出る。