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陽向の恋
第6章 六

 あ、そういえば……陽向のこと忘れてた。温泉街までの道を歩きながら、私はバッグから携帯を取り出して確認する。……何やらいっぱいLINEが来てる。

『午前10時 課長とは回らないでよ!』

『午前10時1分 絶対だよ!』

『午前11時2分 着いた?』

『午前11時20分 今何処?』

『午前11時33分 美術館にいるよ』

 ヤバい……返信しないと。

『午後1時35分 今から花菜と課長と温泉行くところ』

 私は慌てながら、陽向へ返事を返した。するとすぐ既読になり……返事が返ってくる。

『午後1時36分 裏切りもの……』

 ……。怒ってる。確実怒ってる。怨念の様なものをLINEから感じる。でも花菜もいるし、遅れて到着したから仕方ないし、裏切るつもりはないし。

「……」

 そのまま私は考えて、返事をした。

『午後1時40分 こっそり会う?』

 だが、返信は来ない。それどころかさっきあんなに早かった既読も付かない。……シカトかい!それから温泉街へ着いても、陽向から返事が来ることはなかった――……
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